赤い鉄橋を渡る秋田内陸線の車両

内陸線に乗りに行く

鷹巣と角館、94.2kmを一両のディーゼルカーがつなぐ秋田内陸線。移動手段というより、乗ることそのものが目的になる線です。車窓の読み方と、途中下車の組み方をまとめました。

どんな線か

マタギの山裾を縫って、県北の鷹巣と県南の角館を縦につなぎます。単行のディーゼルカーが基本で、阿仁川と絡み合いながら山あいを走ります。全線を乗り通すと約2時間半。速さで選ぶ線ではなく、車窓で選ぶ線です。

本数が少ないので、時刻表が旅程表になります。途中下車するなら一日フリー乗車券を窓口で確かめてから乗ると、降りる決心がしやすくなります。座席は自由席が基本です。ボックス席の窓側が取れたら、あとは川が近づくのを待つだけです。

車窓の見どころ

見せ場は駅の間にあります。放送や徐行で教えてくれる便もありますが、この三つを知っておくと車窓の解像度が変わります。

阿仁川の鉄橋
線路は阿仁川を何度も渡ります。赤い鉄橋の上から川面を見下ろす数秒が、この線の名場面です。撮るより先に、まず窓の外を。
田んぼアート
沿線の田んぼに、色の違う稲で大きな絵が描かれます。見頃は田の緑が濃くなる夏から穂の色づく秋口まで。アートの区間で速度を落とす便もあります。
雪原の単行
冬は窓の外がすべて雪になります。田んぼの雪原、杉山、川の黒い水面。一両の暖房の中から見る雪国は、車では出会えない眺めです。
田んぼアートの脇を走る秋田内陸線

降りる駅を決める

全線を一気に乗り通すより、どこかで一度降りるのがこの線の楽しみ方です。次の列車までの一時間半が、集落歩きの持ち時間になります。

雪の川を渡る秋田内陸線の車両

冬の夜、紙風船が上がる

2月10日の夜、上桧木内の雪原から灯をともした巨大紙風船が夜空へ上がります。内陸線がいちばん賑わう夜で、車窓の旅と行事をひと晩で重ねられます。臨時列車の運行を先に確かめてから組んでください。

2月上桧木内の紙風船上げ

旅の組み方

角館側から午前の便で北上し、阿仁合で昼、午後にマタギの里か森吉山へ——という配分が基本形です。

乗りに行く前の心得

  • 本数が少ないので、降りる前に次に乗る便まで決めておきましょう——時刻表が旅程表です。
  • 紙風船上げの夜と桜の季節は混みます。臨時列車と席の混み方は先に調べておいてください。
  • 山あいは里より冬が早く来ます。11月から3月は、駅間の徒歩移動を予定に入れないでください。