春
雄物川沿いの残雪が消え、田に水が入ります。大綱の熱気が去った静かな町。
- 川沿いの春
かりわのえき
日本一の大綱が通りを埋める町の駅。
奥羽本線の小さな駅。普段は静かな川港だった町ですが、2月10日の夜だけは、五百年続くと伝わる大綱引きで沸騰します。直径約80cmの大綱は数百人がかりでようやく動く太さで、上町が勝てば米価が上がり、下町が勝てば豊作という占いを、町ぐるみで五世紀繰り返してきました。
大綱は藁から毎年編み直されます。町の田んぼの藁が冬に綱になり、春にまた田に戻る——行事が農事暦の一部として生きている場所です。
平時は各駅停車だけが停まる静かな途中駅で、その静けさと綱の夜との落差がこの町の性格になっています。秋田市と大曲のあいだの移動に組み込みやすい位置なので、2月の夜だけ目的地になる駅——と覚えておくと旅程に差し込みやすくなります。当日は帰りの列車の時刻が観覧の締め切りになります。先に時刻表を確かめてから綱に近づきましょう。
雄物川沿いの残雪が消え、田に水が入ります。大綱の熱気が去った静かな町。
奥羽本線の車窓が緑一色になる区間です。雄物川の川風が通ります。
実りの季節。大綱に使う藁が、この田んぼから生まれます。
2月10日、駅から歩ける大通りが日本一の大綱の会場になります。町の人口の何倍もの人が集まる夜。
花火大会当日の大曲の宿は一年前から埋まります。現実解は秋田市か横手に泊まって臨時列車で通うことです。平時なら駅前のビジネス系で十分に組めます。